テニスをやっていると常についてくる問題が「安定」です。誰もが安定したショットを打ちたいと思いますが、なかなか自分が思った通りのボールがいかないと悩む方は非常に多くいます。その理由が安定させる方法を知らないことがあげられます。
ストロークを安定させるための3つの方法を詳しくお伝えしていきますので、参考にしていただければと思います。
※打ち方に関してはこの記事ではほとんど記載をしていません。ストロークの打ち方に関しては以下の記事をおすすめします。

ストロークを安定させる最大のコツは「振り切る」
プロの試合やテニスがうまい人のプレーを目にしたことがあると思いますが、彼らは窮地に立たされた場面でも必ずラケットを振りきってストロークをしていますね。
そもそもストロークが安定しない原因は
・ラケット面の向き
・ボールの弾道
・ボールの勢い
・ボールの回転量
といった要素であり、もっと簡潔に言うと方向、距離、勢いとなります。
あれ手首の形は?ラケットダウンは?といった疑問を持たれる方もいると思いますが、安定したショットを打てる人はラリーや試合中にいちいち「打ち方」を気にしていません。上記の4つを満たすために結果としてラケットを振りきっているのです。
結論から言いますとラケットを振りきることとどんなボールを打ちたいかをイメージすることの2つです!
それぞれ詳しく解説をしていきます。
安定したストロークの原理
ストロークを安定させるためには「方向→弾道→勢い→回転量」の手順を知っておくことが大切です。
まっすぐ飛んでいるかが安定したストロークを打つために最も重要な要素となり、そのためには「体の回転を使い振り切る」ことが大切です。そのあとに弾道やボールの勢いといった「ボールの結果」のイメージがあり、テニスのレベルが上がってくることで「回転」という要素が加わってきます。
これら4つは小手先のスイングでは調整が難しくなるため、ストロークを振り切った中で調整していくことが安定したボールを打つためのコツとなってきます。
以降は方向・弾道・勢い・回転量について解説をしていますので、詳細を知りたい方は読み進めていただけたらと思います。
本題のストロークを安定させる3つのコツについて読みたい方はストローク安定のコツをクリックすることでそのページへジャンプします。
第1段階「方向の安定」
まず安定させるための第1段階は「方向」。打点時のラケット面の向きのことですね。方向を安定させるためには体の回転を使いストロークをすることです。ラケット面が違う方向を向くということは手首を使っているということになりますが、体の回転を使ってスイングした場合手首に意識がいかないため手首が動かなくなります。逆に打点に意識が行き過ぎて面を安定させようとするとグリップを握ることになり、握るという行為がラケット面の向きを変えてしまう原因になってきます。
結果として、小手先で方向を安定させようとするよりも、体の回転を使ってスイングをした方がラケット面の安定につながり、方向の安定へとつながります。
第2段階「弾道の安定」
第2段階は「弾道」。打ち方で言うと下から上にスイングしましょうというアドバイスに当たります。ネットがある以上、ボールは上方向に飛ばさなければなりませんので結果としてスイングは下から上になりますが、これまた下から上の意識が強すぎると手首に力が入り方向が乱れる原因やボールに謎の回転がかかりネットを超えなくなってしまいます。後ほど詳しく説明していきますが、上方向へのイメージを持つだけでラケットは自然と下から上にスイングされますになります。
イメージをすることで体が勝手に動いてくれるということです。
第3段階「ボールの勢い」
第3段階は「ボールの勢い」。アウトが怖くてラケットをインパクトで止めるようなスイングになることはありませんか?ラケットを止める(グリップを握る)ということは瞬間的にラケットの移動速度が上がり、弱いボールを打ちたいどころかかえってボールが飛びすぎてアウトしてしまうことにつながります。
ボールの勢いをゆっくりにするためには、動きを止めるのではなく、動きそのものを遅くすることになり、こちらもどのくらいのスピードのボールを打ちたいかをイメージして振り切ることでボールの勢いを調整することができます。
第4段階「ボールに回転を与える」
第4段階は「回転」。ストロークの安定=回転と考える方も多いかと思います。ですが、実は第1段階~第3段階を意識すれば自然とボールには回転がかかります。
では、なぜ安定=回転という認識が強いのか。これは、テニスのレベルが上がってくると相手のボールの勢いも自身のスイングスピードも上がってくるためボールをコートに収めることが難しくなるためです。自分のボールがコートに収まらないと感じた時にボールに合えて回転をかけて飛ばなくすることで、速いスイングスピードでもコートに安定してボールをコントロールすることができるのです。
テニスで安定したストロークを打つ方法①「イメージ」
100mを全力で走ってください!
と言われたらまず「走る」と「全力」の2つを思い浮かべてスタートをすると思います。モモを高く上げて姿勢はまっすぐにし、スライドを大きくしてと考える方はあまりいないのではないでしょうか?
テニスに置き換えても同様のことが言えます。ラリーや試合中に「速い球を打つためにはラケットダウンを抑えて、面の向きはまっすぐで」など考えません。打ち方というのはコーチなどから打ちやすいボールがきた中での練習で身につける動作であって、ラリーや試合など様々なボールが来る場面で打ち方を気にしてもうまくいきませんし、そんなことを考えている時間もありません。
打ち方というボールを安定させるための過程ではなく、安定させるためのボールの結果「イメージ」を意識することが重要になります。
イメージをするための方法を知らなければイメージの使用がないですので、練習方法をお伝えしていきます。
弾道のイメージを作る方法
ネットを超えてコートにボールを収めるためには、ボールの落としたい場所にボールを落下させるイメージを持つことです。俗にいう山なりの弾道というものですが、ポイントは落下地点までのイメージを持つことです。100mでも100m先にはゴールがありますね。テニスでいうと打点がスタートでボールの落下場所がゴールとなります。
具体的な練習方法は、弾道イメージ「ボールを落下させる」を強く持ってラケット振り切ることです。
球出し練習がいい例です。大抵は球出しの際に的を狙って練習すると思いますが、「的にあてる」とイメージする人は多いのに対して「的にボールを落下させる」というイメージで練習している方は少ないのでないでしょうか。
的にボールを落下させるためには山なりの弾道でなければなりませんがイメージを持つことで自然と下から上のスイングができてきます。また、ラケット面の向きも安定してきますので、「ボールを落下させる」イメージを持つことで方向と弾道の2つを安定化することができます。
テニスで安定したストロークを打つ方法②「スイングスピード」
単純にボールの勢いがなければボールは飛びませんし、勢いがあればボールが飛びすぎてアウトをしてしまいます。このボールの勢いが難しいと感じるあまりに、ラケットを振らないで当てるだけという選択肢をとっている方は意外と多いです。というのも、私自身がテニスを始めた頃こういった経験がありました。
前にも述べた通り、ストロークは振り切ることで自然とボールに回転がかかりボールが落下していくのですが、ラケットを止めてしまうと本来自然にかかるはずの回転がかからなくなります。ボールに回転がかかっていないのでボールはなかなか落下せずにアウトになってしまうのですね。
ここでは、スイングスピードの調整方法をお伝えしていきます。
スイングスピードを落とす方法
スイングスピードを自在に調整する練習方法としておすすめなものが2つあります。一つは球出しの際でもう一つはラリーでの練習方法です。
フォアハンドで素振りをするとラケットが風を切って「ビュン」と音がすると思います。
(ビュンとならない方は手だけのスイングになっている可能性大です。もしビュンとならないのであればストロークの基本動作の記事をご覧いただくとスイングの基本を理解できます。)
球出しスイングスピード練習方法
ラケットが風を切る音を変化させることでスイングスピードを調整することができます。「ビュン」といった場合はスイングスピードが速く「ビュ~ン」といった場合はスイングスピードが遅いということになりますので、素振りでスイングの音を意識したのちに実際に球出し練習していくのが一つ目の練習方法です。
詳しくは➡硬式テニスのフォアハンドのコツは『クイッ』と『ビュン』をご覧ください。
ラリースイングスピード練習方法
もう一つの練習方法は、ラリーする際に相手のボールと同じボールを真似て返球する方法です。スイングスピードだけではなく予測などのレベルアップにつながりますのでおすすめです。
詳しくは➡ラリーを続けるコツは『打つ』ではなく『真似る』をご覧ください。
テニスで安定したストロークを打つ方法③「回転」
テニスのレベルが上がれば相手のボールの勢いも上がってきます。それだけ反発力が増えるということになりますので、勝手にボールが飛んで行ってしまいますね。だからといってスイングスピードを遅くしても打ち負けるし強いボールも打てない。そんな時にスイングスピードを速い状態保ったまま安定したストロークを打つために、ボールに回転をかけてボールを飛ばなくさせるのですね。
簡単に回転がかかる原理を言いますと、打点までのラケット面の角度・スイングの角度・スイングスピードなどラケットダウンからインパクトまで動きとなります。ラケットとボールの接触時間はコンマ5秒のため、私たち人間が打点時に何かをしようとしても間に合わず、すでにラケットからボールが離れている状態になるのです。多くの方は回転をかけようとして手首を使ってみたり雑誌などでみたワイパースイングをやりがちですが、本当に意識する場所は打った瞬間や打った後ではなく打つ前ということを覚えておくとよいです。
回転に関する打ち方の詳細は➡テニスのストロークで回転をかけるコツは「打点までの動き」を参照ください。
回転量をイメージする方法
回転をかけるには回転量を調整することが重要で、その方法がイメージとなります。
前提として振り切ることとスイングスピードの調整ができているものとしますので、自信がない方はストローク安定のコツ①を振り返ることをお勧めします。
さて、回転の量は面の角度や振り上げ角度に加え、スイングスピードに比例してきます。回転の場合はスイングスピードが上がれば回転の量が増え、スイングスピードをゆっくりにすれば回転の量は減ります。このことを意識して以下のようなイメージ方法で練習をしてみてください。
①普段のストロークのボールを仮に「100回転」という数値に置き換えます(この数値は置き換えやすい数値でOK)
②球出しなどの練習で「200回転」「300回転」など回転量のイメージをしてからボールを打ちます。
③自身が思い浮かべた回転量に対してボールがコートのどの位置に落下しているかを確認します。
このようにして、漠然としている回転量に何でも良いので目安となる数値を勝手に当てはめて練習をしていきます。回転のイメージは飛躍的に向上し、慣れてくればラリー時でもボールの弾道や落下地点、回転量をパッとイメージすることができてきます。
まとめ「ストロークの安定は振り切りとイメージ」
ストロークを安定させたいと思えば思うほど面の向きだったり振り方などのフォームに目がいきがちですが、イメージを強く持つことが安定する近道になります。
打ち方は練習の積み重ねで身につくものであるため、言い換えれば無意識にでる動作でもあります。そこはそこで練習が必要でもちろん正しい練習をすれば比例してストロークの安定にもつながってきますが、即効性は残念ながらありません。
別の視点からストロークを安定させるにはどんなボールを打ちたいかをイメージして練習をすることで、早い段階で今までと違った感覚が生まれてくるはずです。
・スイングはゆっくりと振りぬく→方向・弾道・勢いの安定
・ボールを落下させるイメージ→方向・弾道・勢いの安定
・回転の量をイメージする→速いスイングでも安定
今皆さんは方向が安定しないのか、それともアウトが多いのかといった目安に応じてやるべきことは変わってきますので、まずは自分の安定しない原因を「方向・弾道・勢い・回転」の4つの要素から考えていただくと何をすべきかが見えてきます。
この記事がみなさんのテニスライフにお役に立てたらうれしく思います。
コメント