テニスの前衛の役割に疑問を感じる方に向けて、前衛の考え方を解説していきます。

前衛にいるとどう動いたらいいかわからなくなる

前衛にいるとよく抜かれちゃうのよね……
教えられた通りに前衛をやっても、試合になると全く動けなくなるという方は多くいます。
このような悩みに現役テニスコーチが、前衛の本来の意味・役割について詳しくお伝えしていきます。
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■前衛でもっと活躍したい
■ペアに迷惑かけたくない
テニスダブルスの前衛の役割は?
テニスダブルスの前衛の存在意義は「ポイントを取るため」ですが、もう少し細かいところまで見ていくと2つ意味合いがあります。
・(ポイントを取るために)陣形のバランスを保つ
前衛はポーチに出ることが役割でしょ?
確かにソレも役割の一つですが、これだけでは穴の多い前衛となってしまいます。
どういうことか?2つのポイントをかみ砕いて説明していきますね。
相手の時間を奪う
前に詰めるとポイントがとりやすいのは「相手の時間を奪っている」からです。
例えばこんな経験ありませんか?
→かっこよく決めようとしてアウト
ネットの近くにいるからさらに攻めたくなりますが、そもそもが前衛にいるだけで相手にとっては嫌な存在なのです。
強いボールを打とうとすれば、それだけ動作は硬い動きになりミスの確率は上がってしまいます。
強いボールを打つ!という発想ではなく、相手の時間を奪うという発想にするだけで、今やるべき最善のショット選択ができるようになってきますよ。
陣形のバランスを保つ
前衛の役割で僕が最も重要視しているのは、陣形を崩すも崩されるも前衛の動き方次第ということです。
例えばこんな時
・よくセンターを抜かれる
先ほども言ったように前衛はいるだけで嫌な存在!
もちろん、相手の心理状況や得点状況等を加味して、「作戦として」大胆に動いたりするのは、僕も大賛成です。
ただ、やみくもに動いたり味方が前に詰めているのにポジションを前に詰めなかったりしてしまうと
嫌な存在→格好の餌食
に変わってしまうのです。
前衛者はボールを打っていないわけですから、味方の様子や相手の様子を観察し、状況を判断をして陣形のバランスを取る時間があります。
味方の意思に合わせた動き、相手の状況をみたポジション取りをすることで、穴が少なく決定力の高い前衛になるためのコツとなります。
次で詳しく解説していきます。
テニスの前衛が意識するべきこと
前衛で意識したいポイントは2つです!
■状況判断のための観察
ポーチの出るタイミングやら打つコース等はその後の話!
まず大切なのは、相手にとって嫌な存在であることを認知させることです。
穴がない!いつも見られている感じがする!
こう相手に思わせるだけで、前衛の役割として十分な価値があり、気持ちの面でも余裕をもってプレーすることにつながってきます。
陣形を崩されないことを第1目的に
陣形とは攻められないためのポジショニングが前提にあり、そこから柔軟に対応するための配置のことを言います。
テニスにおける前衛も守りと攻めの両側面の役割があります。
守りの視点→左右のスペースを消せる
攻めの視点→相手の時間を奪える
前にいるから攻撃!というほかにも左右のスペースを消しているという役割も持ち合わせているのですね!
仮に前衛が基本ポジションを無視して色々動いた場合
→攻めではアクティブな前衛
→守りではスペースができて穴
となり、守りでの利点を自ら欠点に変えてしまうということになります。
まずは陣形の本来の目的である「相手に攻められないための配置」を取り、隙をみて時間を奪うという攻めの利点を生かすことで、穴のない前衛になれます。
状況判断をするために観察を
前衛者が「観察」をすることで、様々なメリットを引き起こすことができます。
■攻めるタイミングがわかる
■相手にプレッシャーをかけられる
など
前衛者はサーブとリターンの間、絶対にボールに触れないですよね。ラリー時でも4人中3人はボールを触っていません。
言い換えれば「なにもしない時間が存在する」ということです。
目でボールを追いかけていませんか?
ボールは必ず「人」から飛んできます。
だったら何もしない時間を利用して、ボールを追うのではなく人を見るべきですよね。
よくある2つの例「攻めるタイミング」と「ストレートカバー」から、観察の大切さを説明していきます。
攻めるタイミング
前衛が攻めるためには、だいたい以下のような流れがあります。
↓
②味方が攻める
↓
③相手が劣勢になる
↓
④ボールが甘くなる
↓
⑤前衛が決めに行く
甘いボールが来るまでにこれだけのことが起こっています。
一般的には相手が苦しくなったら攻める準備をするプレーヤーが多いです。
ですが、①や②の時点で観察できれば「攻められる展開がくるかも」と早い段階で予測し準備をすることができますね。
ボールを見ているだけですと、早めの判断ができなくなり後手後手になってしまいますが、観察をすることで
「あっ、今は攻めているのだな」
「仲間が詰めて打ってるな」
といった、チャンスボールが来る根拠をいち早く予測することができ、陣形を崩さずに準備した形で攻めることが可能です。
ストレートカバー
前衛のストレートカバーはアレーコートに寄ること!
このように教わることが多いかと思います。
ですが、アレーコートに移動しなくてもストレートに来たボールの対応はできます。
テニスのダブルス前衛の動き方とポジションを解説【視野が変わる】で詳しく解説していますので、ご覧ください。
では、相手がコートの左右に追い出された場合、どんなボールが来ると思いますか?
正解はどんなボールも来る!です。
相手の態勢や得意ショットなどで、ストレートにもアングルにもセンターにも来ますし、ロブやドロップも来ます。
味方がワイドに打ったから条件反射でアレーコートを守ってしまう……このような方はボールを目で追っかけている場合が多いです。
正しい動きとしては、相手に向きを作り左右のスペースを消したうえで「観察」をし、相手の動作をみてポジションを取っていくのです。
テニスでの前衛の役割を果たすために観察をしよう
テニスの前衛の役割に必要な考え方を再度まとめます!
■状況判断をするために観察が重要
■前衛にも攻めと守りの両側面がある
前衛は二人いるから前衛なのです。
前衛だから攻めなきゃ!という主観も時には大事ですが、客観的に見た場合の前衛の役割という視点も必要ですよね。
陣形のかじ取りという視点をもつと、今まであわただしかった前衛の動きがどっしりと威圧感のある前衛となってきます。
前衛の役割や動き方に悩んでいる方は、選択肢の一つとしてこうした考え方を取り入れてみてもよいかもしれませんね。
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