2019年2月にウィルソンから新シリーズの「クラッシュ」が登場しました。その中でもクラッシュ100を現役コーチが試打しましたので、感想をお伝えしていきます。

独特の打感って聞いたけど…いったいどんな感じなの?

パワーとコントロールの両立って一体どういうこと?
新シリーズというもあり、様々な疑問があると思いますので、現役のテニスコーチでもある当サイト管理人が、試打した打感や特徴・おすすめプレーヤーをお伝えしていきますので、ご参考ください。
Wilson クラッシュ100の評価
早速ですが、一番初めにクラッシュ100を評価していきます。
打感 | ★★★☆☆ | 独特な打感・柔らかいがしっかりしている |
パワー | ★★★☆☆ | 真ん中に当たれば抜群。真ん中以外はそれほどでも… |
コントロール | ★★★★☆ | コートに収めやすいという点では◎ |
回転 | ★★★☆☆ | 程よくかかる。すごいかかるわけではない |
操作性 | ★★★★★ | 取り回ししやすい!ボレーは絶品 |
※管理人の感覚での評価です
クラッシュ100は、はっきり言って好みがわかれると思います。
打感は柔らかく、思ったよりもボールが勢いよく伸びていきます。なのに、なぜかコートに収まるという不思議な感覚。
インパクト時に食いつき感がある分、自然と回転がかかっているせいでしょう。
パワーとコントロールの両立とはこういうことなのか?という、今まで味わったことのない感覚でした。
個人的には、マシンに当たった時は非常に大好きな打感で、芯を外すと大嫌いな打感でした…
Wilsonの他シリーズとクラッシュを比較
■コントロール ブレード>クラッシュ>ウルトラツアー
■回転 ウルトラツアー>クラッシュ>ブレード
といった感じで、バランスが取れているように見えますが、実際の感覚は、えっ、こんな飛び方するの?といったような感覚です。
ブレードやウルトラツアーの方がイメージに合致したボールが飛んでいく印象でしたが、「あっ、力のない僕・私でもボールが飛んでくれるじゃん」と、思わせてくれるのはクラッシュでした。
以降は、さらに深堀して、クラッシュ100の機能面やインプレをご紹介していきます。
Wilson クラッシュ100の特徴
スペック
フェイス:100Inch
ウエイト:295g
バランス:310㎜
フレーム厚:24/24/24
パターン:16×19
特徴
・黄金スペック級の安定性
フリーフレックスを搭載!カーボン素材を特殊な編み方にし、しなりを大きくしたテクノロジーです。これにより、ウッドラケットのようにしなる打感を実現。
ステーブルスマートを搭載!スロート部分をウィルソン独自の形状にすることで安定性を実現。
フリーフレックスとステーブルスマートの2つのテクノロジーを搭載することで、今まで相まみれる特徴である「やわらかさ」と「コントロール」を両立し、しなるのに安定性があって、パワーアシストがあるラケットとなっています。
WILSON クラッシュ100のインプレ
ストローク
・パワーはあるが、飛びすぎない
・回転は自然とかかる、逆にかけようとするといまいち
打感
フレーム自体が柔らかくボールを掴む感覚があるせいか、インパクト時にものすごく柔らかさを感じました。
どのくらいかというと、ウルトラ100CVより断然に柔らかいです。
これだけ柔らかく感じると、普通は面がぶれやすくなるのですが、ブレない!マシンに当たった時の打感は、本当に気持ち良いです。
柔らかいのですが、打ちごたえがあって、面がぶれないので、ゆったり振るくらいがちょうどよいラケットです。
パワー・回転
インパクト時の感覚よりもボールの勢いが感じられ、ギューンと飛んでいくイメージです。
インパクト後の飛び出しだけをみれば、ヨネックスのイーゾーンに近いものを感じました。
ですが、そのまま吹っ飛ぶわけではなく、コートにしっかり収まってくれます。
急激に失速してコートに収まるという感覚ではなく、食いついている分ボールに回転がかかって落下している感覚なので、バウンド後も勢いを保ったまま飛んでくれました。
回転
ボールを掴んでいる感覚があるので、おっ、ものすごい回転がかかりそう!と思ったのですが、ボールの飛び出す勢いが強いせいか、そこまで回転がかかっている印象はなく、程よくかかっているなーという感じでした。
ただ、スピンをかけようと思って打った際は、逆にイメージよりもかからずボールの勢いが優先されていたので、
スピンのイメージで振ると思ったよりかからない
フラットのイメージで振ると思ったよりかかる
といった印象です。
ボレー・サーブ
・サーブは、速度・回転量があがるかも
ボレー
非常にコントロールしやすく、ボールの勢いもあり、シャープな打球が飛んでくれました。
フレーム自体は柔らかいのでつかむ感覚がありつつも、面がぶれないので自分からしっかりスイングをしても打球が暴れることがなく、コートに収まってくれます。
ボレーに関しては弾きがよいのですが、インパクト時にグッと手に残る感覚があるため、コントロールしやすく、また、なんといっても取り回しのよさにびっくり!
ポーチなどの突き球の際にも、弾かれるといったことはなく、コートに収まってます。
サーブ
スイングスピードを変えて打ってみた
・流す程度で振ったら、あらいい感じ
・ゆっくり振ったら、少し硬く感じた
速く振った場合(ツアーラケットのイメージ)
上級者・試合に出ているような方を想定してスイングをしました。
はっきり言って、難しく感じました。
というのも、速くラケットを振ると食いつきがあるせいか・フレームが柔らかいせいか ボールがなかなか出てこないで、逆クロス方向行ってしまう感覚でした。
ツアーラケットを扱える人には、100よりも98の方がよさそうです。
ゆったりめで振った場合(黄金スペックのイメージ)
中級~上級を想定してスイングをしました。
最も打ち心地・打球の勢いがよかったです。
通常の黄金スペックよりもクラッシュの方が操作性がよく軽いので振りやすい!ラケットが軽い分ボールに打ち負けるかなーと思いましたが、抜群の面の安定性があるおかげで、苦しいボールも打ち負けることなく打球できました。
5割・6割程度で振った時に真価を発揮できるラケットです。
ゆっくり振った場合(軽量ラケットのイメージ)
初級から中級を想定してスイングしました。
軽量ラケットのイメージでゆっくりめに振ると、柔らかさよりもしっかりした打感の方を強く感じました。
ボールはしっかり飛んでくれるので、悪くはないのですが、クラッシュ特有のしなりはあまり感じることができなかったので、普段軽量ラケットを振っている方でしたら280gのクラッシュ100Lやガットの本数が少なく食いつき感をより感じやすいクラッシュ100Sの方がよさそうです。
クラッシュ100のおすすめプレーヤー
・ボールの後ろから厚めに当てていくプレーヤー
・ダブルスプレーヤー
ガンガン振るタイプよりもコントロールを重視して5割・6割くらいのスイングをする方に向いているラケットですね。
振りすぎると、しなりが強すぎて個人的にはコントロールという面でブレが生じてきましたので、パワー+コントロールを謳うクラッシュの良さを体感しずらいと思います。
体の軸を回転させて打つプレーヤーよりかは、重心移動をしていくプレーヤーに最適という印象でした。
また、操作性がよく、パワーもある程度出せますし、ボレーのコントロールは一級品ですので、ダブルスプレーヤーなら、テニスの世界観が変わるかもしれません。
Wilson クラッシュ100の詳細
WILSON ブレード100V7.0 2020 まとめ
クラッシュ100のポイントを、まとめると以下の通りになります。
■面ブレが少なく、コントロール〇
■5・6割のスイングスピードがよさそう
■操作性がよく、ボレーは一級品
■黄金スペックで若干重いなーと感じる方に最適
ウィルソンの革命・パワーとコントロールの両立という謳い文句ですが、なるほど、今までにはない感覚だなーというのが一番印象に残っています。
テニスラケットに一番求めるものはという市場調査で、柔らかい打感・フィーリングという声が最も多かったそうですが、日本人は特に柔らかい打感でコントロールのよいラケットを求める傾向が強いですので、日本向きのラケットかもしれません。
しなりや柔らかい打感が好きだという方は、ぜひ試されてみてはいかがでしょうか。
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