ダブルスの陣形ってどんなのがあるの?それぞれの特徴も知りたい!
現代テニスで主流の陣形は5つあります。
- 雁行陣
- 並行陣
- ダブル後衛(2バック)
- アイフォーメーション
- オーストラリアンフォーメーション
陣形ごとに特徴は異なり、メリット・デメリットは抑えておきたいです。
状況によって陣形を使い分けられれば、戦略の幅が広がりますね。
現役のコーチが、それぞれの陣形を比較しつつ、特徴を解説します。

テニスコーチ歴17年
初級者~上級者まで幅広く指導した経験や知識を配信
テニスのダブルス陣形での5つの種類を比較
テニスの各ダブルス陣形を簡単に比較します。
陣形 | イメージ | 使用頻度 | 戦術 |
---|---|---|---|
雁行陣 | ![]() | ◎ | バランス型 |
並行陣 | ![]() | ◎ | 攻撃型 |
2バック | ![]() | 〇 | 守備型 |
OF※1 | ![]() | ▲ | 特殊型 (サーバー側のみ) |
AF※2 | ![]() | △ | 特殊型 (サーバー側のみ) |
※2:アイフォーメーションの略
雁行陣と並行陣は、ゲームを通じて常に使用され、最低限おさえておきたい陣形です。
2バックは、ゲームの状況によって使用されることがある陣形で、しのぎたい場面でよく使用されます。
オーストラリアンフォーメーション・アイフォーメーションは、サーバー側のみ使用でき、上級者の戦術の1つとして使われる特殊的な陣形です。
テニスの各ダブルス陣形の特徴
各ダブルス陣形の特徴をお伝えします。
ダブルス戦術として、それぞれのメリットやデメリット、使用する場面など押さえておきましょう。
雁行陣

特徴 | 攻守のバランスが取れたオーソドックスな陣形 |
戦術(役割) | 前衛:アタッカー 後衛:チャンスメーカー兼ディフェンダー |
メリット | コートすべてのスペースを2人でカバーできる |
デメリット | ストロークの技術が要求される |
レベル | 初級~上級 |
ダブルス陣形で最も使用される陣形が雁行陣です。
テニススクールでもはじめに教わる陣形であり、上級者になってもバランスのとれた陣形として、頻繁に使われます。
一般的な戦略は、「後衛(ストローカー)がラリーをし、チャンスになったボールを前衛(ボレーヤー)が決める!」です。
それぞれの役割がはっきりしており、さまざまな戦略がとれるので、基本でありながら奥の深い陣形と言えるでしょう。
雁行陣はぜひともマスターしておきたい陣形なので、より深く知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
並行陣

特徴 | 2人がボレーメインの攻撃型な陣形 |
戦術(役割) | 前衛:アタッカー兼ディフェンダー 後衛:チャンスメーカー兼ディフェンダー |
メリット | 相手の時間を奪える 左右のスペースを消せる |
デメリット | ロブ対応が要求される ボレーの技術が要求される |
レベル | 中級~上級 |
並行陣は、2人がネット近くにポジションを取る形で、試合ではメインの陣形として使用されます。
テニススクールでは中級あたりから教わる陣形で、試合では必須の陣形といっても過言ではありません。
一般的な戦略は、「相手の時間を奪って、相手にプレッシャーを与えながらポイントを取る!」です。
ボレーやスマッシュといったネットプレーの技術が高いほど、ポイントも取りやすくなり、効果的な陣形と言えるでしょう。
ただ、ゲームのスタートは雁行陣からなので、サーブダッシュやリターンダッシュ、アプローチなどで後衛が前につめることが必要です。
また、図のようなネット前で小さな雁行陣を作るポジションの他にも、後述で紹介している「横並び」「縦守り」の並行陣もあります。
並行陣については、詳しくは下記の記事で紹介していますので、参考にしてください。
ダブル後衛(2バック)

特徴 | 2人がストロークメインの守備型な陣形 |
戦術(役割) | 2人とも:ディフェンダー兼アタッカー |
メリット | スマッシュや強いボールに対応しやすい (得意なら)ストローク力をいかせる |
デメリット | 前のスペースが空く ストローク力がないと防戦一方になる |
レベル | 中上級~上級 |
戦略的に使われる陣形の代表が、2人が後衛に位置する2バックです。
一般的には守備要素として使用されますが、試合の状況によって目的が変わります。
例えば以下のような時に、活用することが多いです。
- 相手のサーブが強力
- ストロークに自信がある
- 試合のペースを変えたい
- ロブで相手並行陣を崩したい
二人とも後ろにポジションを取っているため、脚力や瞬発力がないと前への対応は難しくなります。
一般プレーヤーであれば、リターン時のみやゲームの流れを変えたいときに、使用するとよいでしょう。
オーストラリアンフォーメーション

特徴 | サーブ限定の特殊な陣形 |
戦術(役割) | サーバー:サーブ後のコートカバー 前衛:クロスへの対応・ポーチ |
メリット | 超攻撃型 クロスのコースを消せる |
デメリット | オープンスペースを与える |
レベル | 上級~(現在は使われていない) |
オーストラリアンフォーメーションは、サーブ時にポイントを奪うために開発された特殊な陣形です。
クロスショットを封じられるため、相手リターンの心理を揺さぶることができます。
一方で、ストレート側に大きなスペースを作ることになり、サーバーはサーブ後にカバーしなければなりません。
しかし、サーバーがストレートカバーをすれば、前衛後ろのスペースが空いてしまい、結局スペースを空けてしまいますね。
こうした理由から現在では使う人はほとんどいなく、代わりに次に紹介するアイフォーメーションが採用されています。
アイフォーメーション

特徴 | サーブ限定の戦術性が高い攻撃的な陣形 |
戦術(役割) | 前衛:相手と駆け引きしてポーチ サーバー:サーブ後に空いたスペースをカバー |
メリット | 相手をかく乱できる ハマれば攻撃性◎ |
デメリット | サーブの高い技術が要求される |
レベル | 上級~ |
アイフォーメーションは、プロや大学生の試合でもよく見られるサーバー側のみに許された陣形です。
難易度は高いですが、できればポイントを取るための引き出しを1つ増やせるでしょう。
流れは以下の通りです。
- 前衛はネットの真ん中に、サーバーはセンターよりに位置する
(前衛は低い姿勢で待つ) - 前衛は左右どちらかに移動
(どっちに行くかをサインでサーバーに伝える) - サーバーはセンター寄りに速いサーブを打つ
- サーブ後、前衛とは逆側へ移動する
リターンからすると、前衛がどっちに動いてくるのかがわからないため、心理的に揺さぶることもできますね。
一方で、サーバー側は連携をしっかりとることが大切!
お互いが同じ方向へ行かないように、サインを決めておくなどの対策が必要です。
おまけ:ダブルス陣形の並行陣「横並び」「縦守り」

戦術でもふれましたが、並行陣には2人が並列する横並びのポジショニングもあります。
レベルやプレースタイルによっては、有効な戦術になることも。
デメリットと合わせて紹介します。
攻撃的な横並び並行陣

2人がネット付近に横並びでポジションを取る陣形です。
前に詰めている分、相手に相当なプレッシャーを与えられ、攻撃特化として有効。
また、前に詰めた分、左右のスペースを消すこともできるため、直線的なショットに強いのがメリットです。
一方で、後ろのスペースが空いてしまうので、すぐにロブを打たれてしまいます。
ラリー中に、相手を追い詰めた際や、相手が強打を打ってくると確信したときが使いどころです。
スマッシュ対応に自信がある男性は、場面によって活用するのもありですね。
守備的な縦守り並行陣

2人がサービスライン上に横並びでポジションを取る陣形です。
ポジションが後ろなので、ロブ対策として有効。
また、守備的な要素が強いため、持久戦を得意とするペアに最適です。
一方で、ポジションが下がる分、左右やセンターのスペースを空けてしまうのが弱点。
強打を得意とする相手には、抜かれてしまう可能性が高くなります。
返球能力に自信のある女性は、運動量も減らせるので、相手にミスをさせる戦術として活用できますね。
テニスのダブルス陣形の種類|まとめ
ダブルスの各陣形は、技量にあった選択や状況によって使い分けることで、最大限の効果を発揮します。
どれがいいかではなく、自分に合った陣形を見つけることが大切ですね。
また、使える陣形が多いほど、戦術面の引き出しを増やせます。
試合の状況によって柔軟に対応するためにも、1つの陣形に固執せずに、挑戦してみてください。
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