2000年台に入ってから突如としてあらわれた「ワイパースイング」。
当時のテニス雑誌には、毎月のようにワイパースイングの打ち方が紹介されていました。
そんなこともあり「古い」と言われますが、そんなことはありません。
一方で、ワイパースイングについて間違った解釈をしている方は多く、ケガにつながったりなど危険です。
この記事では、ワイパースイングがなぜ古いと言われるのかの理由とともに、正しい考え方や打ち方、練習方法についても解説します。

テニスコーチ歴17年
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テニやろ(@tenigoto6011)
ワイパースイングとは?古いと言われる理由
ワイパースイングとは、インパクトからフィニッシュにかけて車のワイパーのように振るところからきています。
ラケットの進化とともに、フラット系主体からスピン系主体に移行したことで、ワイパースイングという言葉が生まれました。
10年以上も前の理論なので「古い」と言われているのでしょう。
しかし、個人的には、ワイパースイングに古いとかいう概念は存在しないと考えています。
事実、錦織圭やナダルをはじめ、現役プロもワイパースイングをしている選手はいます。
といいますか、そもそもワイパースイングは、スピンを打つ人にとって、自然現象の動きなのです。
ワイパースイングの考え方「自然になるもの」
ワイパースイングは、「する」ものではなく「なる」ものです。
しかし、どんなスイングでも適応されるわけではなく、条件があります。
- グリップが厚い
- 打点までのスイングスピードが速い
- 脱力スイング
グリップが厚いほど、下から上方向へのスイングになるため、ワイパースイングがしやすいです。
ただ、これだけでは、ボールに回転がかかりすぎて全然飛んでくれません。
体の回転と脱力を行うことで、スイングスピードがあがり、ボールに威力を加えてくれるのです。
これらの条件を満たせば、ワイパースイングのように見えるフィニッシュへと繋がります。
※ワイパースイングだけを意識したスイングを危険
手打ちの原因となり、肘や手首への負担が大きくなります。大事なのは、体の使い方「運藤連鎖」です。ワイパースイングはあくまでオプションと考えましょう。
ワイパースイングの打ち方のコツ
ワイパースイングの打ち方は、以下のコツが必要です。
- 握り方はウエスタングリップ
- 下半身始動のスイング
- 脱力とフィニッシュの位置
それぞれ解説しますので、動画と照らし合わせながら参考にしてください。
グリップ
- グリップ:ウェスタングリップ
- コツ:小指から握りこむ
手のひらとグリップに隙間を作る
ウエスタングリップは、ワイパースイングの最低条件といっても過言ではありません。
また、脱力を生むためには、グリップの握り方がかぎです。
「握る」ではなく「握りこむ」ようにすると、グリップの握りすぎが改善されます。
身体の使い方
- 体の使い方:下半身始動の運藤連鎖
- コツ:スタンスは(セミ)オープン
右腰を左腰にぶつけるイメージ
ウエスタングリップの場合、上に振りぬくためのスペースが必要なので、スタンスはオープン気味がよいです。
(クローズスタンスだとスイングがめちゃくちゃきつく感じます)
初心者なら、まずは、オープンスタンスの状態で、腰を回すではなく横に移動するくらいでOK!
ターンをした状態から、軸足の方の腰骨をもう片方の腰骨に「クイッ」と移動させれば、オープンスタンスでの体の回転は完成です。
上級者であれば、右腰と左腰を入れ替えるようなイメージで、スイングスピードが速くなるはずです。
フィニッシュ
- フィニッシュの位置:どこでもOK
- コツ:右肩と左肩の位置を入れ替える
肘や手首は返さなくてOK
脱力がカギ
フィニッシュ時は、どこという決まりはなく、重力に逆らわなければ問題ありません。
重要なのは、脱力した状態でフィニッシュができているかと、体の回転が使えた状態かです。
ワイパースイングを意識するあまり、無理やりこねるようなスイングはしないようにしましょう。
せっかく使った体の回転力を生かせないスイングになりますし、肘や肩を痛めるので、ご注意ください。
ワイパースイングをマスターできる練習方法
ワイパースイングをマスターするには、スピンの基本動作を練習するのが最短の道!
ワイパースイングの形だけ意識して練習しても、あまり意味がないからです。
- 体の使い方を練習:素振り
- スピンを練習:打球数を増やす
上記の方法であれば、テニスの練習道具を組み合わせて、自宅で練習できます。
練習方法と注意点、おすすめの道具を紹介しますので、参考にしてください。
素振り
素振りをする際は、以下の点に気を付けてみてください。
- ターンからスタート
- 下半身始動を意識
- 脱力を意識
ワイパースイングの形は、意識しなくてOKです。
自然とワイパースイングになるための体の使い方を目的として素振りを練習してみましょう。
重さのある道具を使うと、遠心力を感じられて、体の使い方が実感できます。
\素振りにおすすめ器具/

詳しいやり方は、下記の記事で紹介しているので参考にしてください。
スピン練習
素振りをする際は、以下の点に気を付けてみてください。
- 体の回転
- インパクトまでのスイング軌道
スピンがかかるかどうかは、ラケットダウンからインパクトまでの、面の向き・スイングスピード・スイング軌道で決まります。
インパクト後にどんなにワイパースイングをがんばっても、スピンの量は増やせません。
詳しくは「スピンがかからない?テニスのストロークでの回転のかけ方と練習方法を解説」を参考にしてください。
また、自宅で練習する場合は、スピンの感覚をつかめて全世界で話題を集めている練習器具を使うと効果的です。
\スピン練習におすすめ器具/
使用イメージは、以下のYouTubeをご覧ください。
ワイパースイングはスピン向上のオプションと捉えよう
ワイパースイングについて、おさらいします。
- ワイパースイングに古いという概念はない
- ワイパースイングは自然になる
- まずはスピンの基本動作を身につけよう
- スイングスピードが上がったらトライしてみよう
ワイパースイングを必要とするスイングスピードを身につけることが第一優先です。
「スピンのボールがコートに収まらなくなった」
こうした悩みに直面したとき、ワイパースイングが助けになります。
その際は、ワイパースイングで回転量を上げれば、解決するはずです。
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