ヘッドの2019年モデル、グラフィン360シリーズの『インスティンクト』と『エクストリーム』は非常に似たようなスペックとなっています。
一見似たような2つのラケットのスペックや特徴の違いを、現役テニスコーチが打ち比べて感じた違いをインプレしていきます。
インスティンクトとエクストリームで悩んでいる方は、ぜひご参考ください。
目次
ヘッドのグラフィン360とは
グラフィンとはダイヤモンドより強い原子同士の結合がある、強い物質…だそうです。要は非常にものすごく丈夫ということですかね。
この素材をラケットフレームに5か所(サイド部分・スロー部分・ヘッド部分)に搭載することで、面のブレを抑制しているということになります。ちなみにグラフィン360の「360」は、360度に搭載していますよ!という意味だそうです。
グラフィン360を搭載することで、パワーロスを抑えることができ、簡単にパワーが出すことができるため、以前の硬いイメージがあったヘッドのラケットはより、パワーを出せるラケットになりました。
インスティンクトとエクストリームのスペックの違い
インスティンクトとエクストリームのスペックを比較すると下記のようになります。
※MPでのスペック比較となります。
インスティンクト | エクストリーム | |
フェイス | 100Inch | 100Inch |
重量 | 300g | 300g |
フレーム厚 | 23-26-23 | 23-26-21 |
バランス | 320㎜ | 325㎜ |
パターン | 16×19 | 16×19 |
ご覧の通り、スペックはほぼ一緒ですが、違う点がバランスとフレーム厚になります。
インスティンクトの方がバランスがグリップ側にあるのに対し、エクストリームはトップ側にあります。このことからスイング時では、インスティンクトは安定しやすく、エクストリームはラケットが加速しやすいということになります。
従来より、フラットはインスティンクト、スピンはエクストリームというカテゴリーで認知されていますが、バランスの違いも影響しているのですね。
フレーム厚の方では、エクストリームの方がインスティンクトに比べトップ位置のフレーム厚が狭くなっています。このことからもエクストリームの方が空気抵抗を受けにくくラケットが加速しやすいということになります。
インスティンクトとエクストリームの特徴の違い
インスティンクトがフラット系、エクストリームはスピン系という特徴の違いがありますが、これはスイートスポットの位置とストリングスパターンの幅が関係しています。
スイートスポット
インスティンクト…フレーム幅がラケットの真ん中付近で最も広がり、ラケットの真ん中で捉えることでボールの勢いを最大限出す形状になっています。
エクストリーム…フレーム幅がインスティンクトに比べ若干トップよりで最も広くなっており、真ん中よりも若干上部分にスイートスポットがあります。
ストリングスパターン
インスティンクト…縦ガットの幅が狭く作られており、その分ガットが動きずらく反発力に優れている
エクストリーム…縦ガットの幅が広めに作られており、その分ガットが動くのでボールに回転がかけやすく、ホールド感もある
これらの違いから、ガットが動きにくく反発を重視したインスティンクトはフラット向きといえ、ボールをひっかけてガットを動かしていくエクストリームはスピン向きということになります。
インスティンクトとエクストリームを比較
インスティンクトとエクストリームの違いについて打感・振り抜き・ボールの威力・回転量の4つに分けて比較していきます。
《インスティンクト360シリーズのインプレ》

打感の比較
ボールの弾きがよく、打感が軽い
■エクストリーム
引っかかりを感じ、打った感触を感じられる
インスティンクトは打感が非常に軽くガットでボールをはじいてくれる感覚があり、打っていて気持ちよさを感じられます。反発力が強いのでパワーが出せますし、グラフィン360構造を採用したことで、面ブレも起きずフラットでもコントロールを利かせやすいですね。
エクストリームは、インスティンクトに比べボールの衝撃を感じることができ、しっかり打っている感覚を体感できます。弾くというよりもガットに食いつくといったニュアンスが強く、より安定性を感じられます。
振り抜きの比較
ラケット面が移動している感覚で、終始安定性がある
■エクストリーム
インパクトにかけてスイングスピードが上がり、その勢いで振りぬける
インスティンクトはラケットの加速というよりも面が常に同一方向を向いた状態で振りぬけるイメージが強いです。そのため、ミスショットも軽減され、手のひら感覚で振りぬけます。
エクストリームは、スイングをすればするほどラケットが加速していくのを感じられます。ラケットを平行に移動させたスイングよりも縦移動させたスイングでより加速を感じられるため、振り抜きも縦スイングの方が速くできます。
ボールの威力の比較
フラット系の球でよりパワーが出る
■エクストリーム
軌道が功を描きやすく、回転も加わるため、バウンド後の威力が維持
インスティンクトは弾き+フレーム厚が面の中心部で一番広いため、真ん中に当たった際はものすごくパワーを感じられます。ですが、先端に当たったとしてもグラフィン360構造のおかげで打ち負けている感覚もなく、フラット系のボールであれば総じてパワーを引き出せます。
エクストリームは、ラケットの構造上縦スイングが振りやすいためボールが上に向かって飛んでいきます。そのため、速度という面ではインスティンクトに劣りますが、ラケットの加速も相まって回転量を自然に生むことができ、バウンド後にその威力を発揮できます。
回転量の比較
回転はかけずらく、フラット系で良さがでる
■エクストリーム
回転が自然とかかり、回転量の調節もしやすい
インスティンクトは、決して回転がかからないわけではありませんが、どうしてもスイング加速がエクストリームに比べ遅くなるため、意識をしなければ回転はかけにくいです。ただ、操作性は非常によいので、スライスでの回転はかけやすいです。ですが、総じて球離れは速いので、回転調節というのはしずらいのかなという印象です。
エクストリームは、回転をかけるためのラケットという印象です。自らスピンを意識したスイングをしなくても、勝手に回転がかかり、スイングスピードに合わせて回転量がそのまま表現される感覚なので、ショートクロスなど非常に打ちやすいです。
弾きはインスティンクト!ホールド感はエクストリーム!
スペックもデザインも似たような二つの機種ですが、より攻撃的でパワーを出したいのであればインスティンクトで安定感を求めスピンをかける又はこれからかけていきたいという方はエクストリームを選ぶと良いでしょう!
■インスティンクトMP
ベースライン後方からでも威力あるボールを打ちたい方におすすめ
■インスティンクトS
小さなスイングでパワーを出しつつ、操作性もほしい方におすすめ
■エクストリームMP
コートを立体的に使って、安定+威力を求めたい方におすすめ
■エクストリームS
これからボールに回転をかけていきたいという方におすすめ
単純にフラットだからインスティンクト、スピンだからエクストリームという選び方よりも、今後もっとパワーを出していきたいからインスティンクト、回転を目指したいからエクストリームという選び方をすることで、ラケットの性能に合わせてスイングも自然と修正されていきワンランク上のテニスを目指せるきっかけになってくれます。
コメント