テニスが難しいと感じる要因の一つにバウンド後の予測があります。
バウンドしたボールを打つスポーツはいくつかありますが、とりわけテニスの場合はボールの勢い・弾道・回転量によってさまざまな変化が起こり予測を難しくする一つの原因になっています。
ですが、バウンドの本質を理解すれば予測の手助けとなってくれ、自分のフォームで打球できる確率がぐっと上がります!
テニスでのバウンドの原理と回転によっておこるバウンドの仕方をお伝えしていきますので、ぜひ予測の1つの手段としてみてください。
バウンドの原理とは
テニスボールはある程度弾むようにできています。これはボールの中に気圧を詰め込んでいるためですが、その気圧値は新品ボールで1.8気圧となります(外気圧(1気圧)よりも高い数値)
高気圧をボール内に閉じ込めているため、良く弾むのですね。
さて、テニスでは進行方向へボールが飛んでいき、重力に負けてボールが地面に落下し弾んだボールを打つということになりますが、そこで重要となるのが
ボールがバウンドするときの角度【入射角】
地面とボールが触れる時に起こる【摩擦力】
地面に触れる前のボールの【勢いや回転量】
となります。
もちろん、風などの自然現象によっても影響を受けますが、この記事では風や高地などの気圧の違いなどは考えずに解説していきます。
入射角と反射角
ボールは入射角が大きくなればなるほど上へと弾もうとします。逆に入射角が小さければ弾んだ後の高さは低くなります。
ロブボールは高く弾み、早いショットは低く弾んでくるのはこの入射角が関係しているのですね。
そして、最も重要なことが
バウンド後の角度(反射角)は入射角よりも大きくなることはない
ということです。
簡単に言えば、ボールが地面に弾む前の高さはバウンド後に超えることはないということです(凄まじい回転量を加えることでバウンド前よりも弾むことがありますが、一般レベルでは非常に難易度が高い)
落下度合いが大きければ大きいほどボールは弾むのですね。
コートと摩擦力
テニスではコートとボールが接触する際に摩擦が起こります。そして摩擦が起こることでバウンド後ボールの勢いが落ちていきます。
また、テニスでは主に芝・クレー・ハード・カーペット(オムニもありますがこれは日本特有のコートとなります)と何種類かのコートがあり、それぞれ表面が変わり、それに伴い摩擦係数も変わっていきます。
ウィンブルドンなどで使用される芝のコートは摩擦係数が一番低いためバウンド後に起こるボールスピードの減少が少ないのに対し、クレーコートでは摩擦係数が高いためバウンド後の減少が大きく、スピードが落ちます。
また、先ほどお伝えした入射角によってもバウンドの仕方に大きく影響を与えますが、数学的な算出は専門の人ではないのでわかりません…すみません汗
ですが、総じて言えるのは、バウンド後はスピードが減少するということです。
トップスピンや低い弾道のスライスが弾んだ後に速く感じるのは、錯覚です。
そのことについてはボールの勢いと回転量が関係してきますので、解説していきます。
勢いと回転量
テニスでいうボールの勢いというのは、ラケットで打球したところからバウンドまでの勢いとバウンド後の勢いに分かれます。
ラケットから放たれたボール(初速)の勢いがあるほどボールは前方向の力が発生するため、バウンドは低く勢いもありますが、ボールの初速が遅い場合は、上方向への力がボールに加わるので、落下した時の入射角が多くなるためバウンドは高く弾みます。
では、ボールに回転がかかるとどうなるのか!
トップスピンの場合、ボールが飛んでいく進行方向側にボールが回転をします。
順回転でバウンドしたボールは、進行方向へと回転しているため摩擦係数を影響を受けにくくなりバウンド後もボールは進行方向への進む力が強くなります。
スライスの場合、進行方向と逆方向に回転が加わるため、摩擦係数は大きくなり一度ボールに回転がなくなります。勢いがなくなったということですね。
バウンド後、ボールは進行方向への回転をし始めていきます。
ここで疑問が出てくると思います。
トップスピンは上に弾んで、スライスは滑ってくるような感覚になると思いますが、逆のことをいっていますよね。このことについては次項で解説していきます。
トップスピンの弾み方
トップスピンの弾み方は、バウンド後も勢いがあり上に弾みます。
この現象を順を追って説明すると
1⃣ボールに回転をかけるため、ラケットはボールに対して下から上に移動する
2⃣ボールは上方向への力が加わる
3⃣ボールの進行方向に対して回転がかかっているため、重力にプラスして落下速度が上がる
4⃣入射角が大きいため、バウンド後は上に弾む
5⃣順回転は進行方向への回転のため、摩擦を受けにくくボールの勢いは損なわれにくい
6⃣その結果、4⃣と5⃣が組み合わさって勢い+上方向への弾みとなってバウンドしていく
となります。
トップスピンはバウンド後の勢いが損なわれにくく前へ進む力を手助けする役割と順回転をかけることで落下角度を大きくし入射角も大きくする役割の2つの要素をかえそなえているのですね。
スライスの弾み方
スライスの弾み方は、バウンド後低い弾道でバウンド後の方が早く感じます(回転量が少ない低い弾道のスライスの場合)
この現象を順を追って説明すると
1⃣ボールに逆回転をかけているが、進行方向への力も加わる
2⃣逆回転のボールは上方向へと進もうとが、進行方向への力が強ければ強いほど上方向へ進みにくくなる
3⃣その結果、ボールが浮いたような感覚となる
4⃣弾道が低いため、入射角は小さい
5⃣逆回転したボールは、摩擦がぶつかり合い、相殺されバウンド後順回転となる
6⃣低いスライスの場合、進行方向への力が大きいためバウンド後も早く感じる
※バウンド後に早く感じるのは、逆回転をかけていることによる滞空時間の長さの感覚があるため。実際はボールの初速よりもバウンド後のスピードは落ちる。
となります。
滑るようなスライスは、進行方向への力に逆らうように逆回転しているため、空中で速度が急激に減速しますが、入射角が小さいため上方向への力よりも進行方向の力が強いため勢いが損なわれにくく、滞空時間との差を感じてしまい速く感じてしまうのですね。
まとめ
テニスのバウンドの原理はこのような形で起こっています。簡単にまとめると
・バウンドの高さ→入射角の度合い
・バウンド後の勢い→摩擦係数と回転量
となります。
このことを知っているとボールの予測にも大きなアドバンテージを生みます。
・トップスピン→上方向に勢いあるボールがくるので、高めに小さなテークバックを準備する
・低いスライス→バウンド後は低い弾道なので、低い姿勢を作り、滞空時間の長さに惑わされないようにする
もちろん、回転の量によって弾み方も変わっていき、特にスライスの場合では
・回転量が多いスライス→上方向へボールが進み、バウンド後は摩擦の影響で進行方向への力が損なわれ止まったような弾ーすもみ方をする
・回転量が少ないスライス→進行方向へボールが進み、バウンド後は入射角が小さいため摩擦の影響を受けにくく低い弾道で勢いを残したまま弾む
といったように、同じスライスでも真逆の弾み方をするケースもあります。
ですが、全体を通して言えるのは、回転の方向・入射角の大きさ(ボールの弾道)・コートの摩擦係数の3つの要素を把握することでバウンド後の予測ができるということです。
ぜひ、テニスの予測の参考になればと思います。
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